子どもの健康に関する疑問にさちこ先生が答えます!

「かぜをひいたら抗菌薬」はもう古い!
 
最近、国内で処方された抗菌薬(抗生剤)の約6割が、通常は抗菌薬が必要ない疾患に処方されていたとニュースで報道されました。日本では抗菌薬を使いすぎていることが問題となっています。実際、かぜ・気管支炎・胃腸炎などのほとんどはウイルスによるものです。よくある急性の疾患で、抗菌薬が必要なのは、溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎、百日咳、尿路感染症、急性中耳炎の一部、とびひなど、ごく限られたものです。抗菌薬はウイルスには効果がありません。つまり、一般によくみられる「かぜ」のほとんどは、抗菌薬の効果はないのです

ウイルス性の疾患に抗菌薬を使うことは、効果がないばかりでなく、悪影響があります。子どもはよくかぜをひきますので、そのリスクが増えます。悪影響は主に3つあります。一つは、耐性菌(抗菌薬がきかない菌)が増加することです。抵抗力が弱くなった時などに耐性菌に感染すると、治療が効かなく命を落とすこともあります。二つ目は、抗菌薬による副作用がしばしばみられることです。よくみられる腸内細菌の変化による下痢のほか、アレルギーで薬疹が出たり、まれにアナフィラキシーショックをおこすこともあります。また、小児でもよく処方される抗菌薬の一部により、低カルニチン血症による低血糖で意識障害やけいれんをおこすことがあります。三つ目は、もし細菌感染だった場合に、原因菌がわからなくなる可能性があることです。抗菌薬を使う際は、通常はその前に培養検査をしますが、原因がわからないと不必要に強い薬を使うことになってしまいます。
では、熱や咳が出ても、受診しなくてよいかというと、そうとも限りません。先に述べた、抗菌薬が必要となる疾患は、かぜの中に紛れていることがあります。最近、この地域でも「溶連菌感染症」が増えてきました。のどの痛みや熱がでますが、早期に診断して適切に治療しないと、腎炎などの合併症をおこすことがあります。また、百日咳やマイコプラズマ肺炎も時々みられます。抗菌薬が必要であると診断された場合には、指示通りに飲むようにしましょうね。必要な時にきちんと使う、それが最近の抗菌薬の正しい使い方です
 
きたなかこども成長クリニック 北中幸子